WHERE SOUND LIVES “VOICES FROM THE FIELD” Vol.2 -株式会社ミュージッククラブ 木戸口氏-
WHERE SOUND LIVES— VOICES FROM THE FIELD
株式会社ミュージッククラブ 木戸口氏に聞く
“現場目線”で見た、Electro-Voice コンパクトシリーズの実力
WHERE SOUND LIVES — VOICES FROM THE FIELD
PAエンジニアやチューナーたちは、音響機材とどう向き合い、どのような判断を下しているのか。このシリーズは、現場の最前線に立つプロフェッショナルの視点から、Electro-Voiceの”今”を伝えるインタビュー記事です。機材スペックの先にある、音への哲学と実践を届けます。

近年、日本市場では少し距離感が生まれていたとも言えるEVブランド。今回の試聴会では、”今のEV”を改めて体感していただくことをテーマに、最新ラインナップを中心に展示・試聴を実施。株式会社ミュージッククラブ 木戸口氏にもご参加いただき、実際にシステムを組みながら、現場目線で製品をチェックしていただいた。

木戸口 正嗣(きどぐち まさつぐ)
株式会社ミュージッククラブ 制作部。長年にわたりSR現場の最前線に立ち、数多くのイベント・式典・ライブの音響を手がけてきた。
「EVOLVEは、現場で試したくなるスピーカー」
——第一印象とシステム構成
最初に印象を伺うと、真っ先に名前が挙がったのはEVOLVEシリーズだった。今回の試聴会では比較対象として他社製コラムスピーカーも用意されていたが、木戸口氏の評価は明快だった。
「コラムスピーカーの方は、すごく現場で試してみたいですね。今までの”EVらしさ”を残しつつ、ちゃんとコラムスピーカーとして成立している。全然現場で使えると思いました。」
—木戸口氏
一般的なコラムスピーカーは低域不足を感じやすい場面もある中、EVOLVEはその点でも及第点以上の評価を得た。
「そこまでローが弱い印象もなく、しっかり出ていた。他社ブランドと比較しても明らかに”使える”感じがありました。スピーチ系イベントだけじゃなく、バンドや生演奏でもどこまでいけるのか試してみたい。」
—木戸口氏
Electro-Voice EVOLVE 70
コラム型ラウドスピーカー・システム

パワフルでありながら高い可搬性を誇るEVOLVEファミリーの上位モデル。8基の4.7インチ・ネオジムドライバーによるコラムアレイと、業界最先端のラミナーベント設計の15インチ・サブウーファーを組み合わせ、最大SPL 133dBを実現。FIRプロセッシングによりリニアな周波数特性と位相整合性を確保。3-2-1アセンブリー方式により迅速なセットアップが可能だ。
| コラムアレイ | 4.7インチ ネオジムドライバー × 8基 |
| サブウーファー | 15インチ(3インチ・ボイスコイル) |
| 周波数特性 | 40 Hz – 18 kHz(-3dB)/ 35 Hz – 20 kHz(-10dB) |
| 最大SPL | 133 dB |
| 指向特性 | 120° × 25°(垂直非対称) |
| アンプ出力 | 2,000W(LF 1,000W / HF 1,000W) |
| 接続端子 | XLR/TRSコンボ × 2、ステレオXLR/RCA、AES/EBU、Bluetooth、QuickSmart Link |
| 総重量 | 35.5 kg |
今回の試聴システム構成
今回の試聴会では、木戸口氏自身にシステムを組んでいただいた。長年現場で音を扱ってきたエンジニアが実際に手を動かしてのインプレッションということもあり、コメントの説得力は格別だ。
使用機材
| ミキサー | YAMAHA DM シリーズ コンパクトモデル |
| パワーアンプ | APOGEE SA700 / YAMAHA PX シリーズ |
| 比較対象 | 既存 SX300 システム |

EVIVA / 18インチサブ
——「SX300の”欲しかったところ”を埋めてくれる」

EVIVAシリーズ:「12インチと15インチでキャラクターが崩れない」
EVIVAシリーズについては、サイズ間のキャラクター一貫性が印象に残ったようだ。通常、サイズ違いでかなりキャラクター差が出ることも多い中で、この点は現場エンジニアとして高く評価する部分だという。
「12インチと15インチで、キャラクターがほとんど変わらないのが驚きでした。会場によってサイズを変えても、同じ感覚で調整しやすい。」
—木戸口氏
SX300との比較についても率直なコメントが続いた。高域の印象の変化に最初は違和感がある可能性も指摘しつつ、全体評価は明確に上向きだ。
「SXよりトータルバランスがかなり良い。全体バランスとしては非常に良くまとまっていて、むしろ使いやすいと思います。」
—木戸口氏
18インチサブ:「1発でも十分飛ぶ」
サブウーファーについても印象的なコメントがあった。低域エネルギーの前方指向性の高さが、現場エンジニアの目に留まった。
「普通なら2発必要かなと思うところでも、1発でかなり前に飛んでくる。SX300で”欲しかったところ”を綺麗に埋めてくれる。」
—木戸口氏
既存EVユーザーにとっても、非常に実戦的な組み合わせになると感じられたようだ。
Electro-Voice EVIVA 12P + EVIVA 18SP
パワード・ラウドスピーカー・システム

ミュージシャン、DJ、小規模会場向けに設計されたEVIVAシリーズ。直感的な操作性、多彩な接続性、業界をリードする耐久性を兼ね備え、EVらしいサウンドクオリティとモダンなスタイリングを実現。12Pと15Pの2ウェイ・ラウドスピーカーに、18インチ・サブウーファーを組み合わせることで、コンパクトながら本格的なシステムを構築できる。
PXM-12MP / EKX-12P / EVERSE 8
——現場が求める”素直さ”と”便利さ”

PXM-12MP:「素直で調整しやすい」
PXM-12MPモニターについては、クセのなさが最大の評価ポイントになった。
「突出したクセがなく、素直に出ている。オペレーターが自分の色に合わせて少し調整するだけで、大体通るんじゃないかな。”特定帯域を大きく削る”ような調整ではなく、自分の好みに寄せる程度で仕上がる。」
—木戸口氏
この「素直さ」という評価は、現場エンジニアにとっては最大の褒め言葉のひとつだ。
Electro-Voice PXM-12MP
12インチ コアキシャル・パワード・モニタースピーカー

フロアウェッジとしてもメインPAとしても使用可能な多機能モニタリングシステム。12インチ / 1.75インチ コアキシャルドライバーによる90° × 90°の均一なカバレッジ、55°のモニタリング角度を採用。QuickSmartDSPによる高度な処理機能を搭載し、4つのプリセット、3バンドEQ、ギタリスト向けGUITARCAB設定なども備える。
| 周波数特性(-3dB) | 64 Hz – 20 kHz |
| 周波数レンジ(-10dB) | 53 Hz – 20 kHz |
| 最大SPL | 129 dB |
| 指向特性(H×V) | 90° × 90° |
| アンプ出力 | 700W(LF 500W / HF 200W) |
| クロスオーバー | 1.6 kHz |
| トランスデューサー | 12インチ / 1.75インチ 2ウェイ コアキシャル |
| モニター角度 | 55° |
| サイズ(H×W×D) | 334 × 409 × 484 mm |
| 重量 | 13.5 kg |
EKXシリーズ:「現場で一度試したい」
EKXパワードシリーズについては、実用性を重視した現実的な評価が出た。
「もう少し伸びてくれると理想だけど、圧はしっかり出ている。決して”使えない”という感じではなく、現場では十分戦える。」
—木戸口氏
特にイベント系や実用用途では、現実的な選択肢として十分に機能するという評価だ。
Electro-Voice EKX-12P
12インチ 2ウェイ・パワード・ラウドスピーカー

EV独自のQuickSmartDSPによる直感的な操作性と、1,500WクラスDパワーアンプを搭載した12インチ・2ウェイ・パワードスピーカー。EV特許技術のSST(Signal Synchronized Transducers)ウェーブガイドにより、正確で一貫性のある指向特性を実現。内部補強を施した軽量15mm木製エンクロージャーとEVコート仕上げにより、現場の過酷な環境にも対応する。最大SPL 132dBをコンパクトな筐体で実現した、実用性と音楽性を両立したモデルだ。
| 周波数特性(-3dB) | 60 Hz – 18 kHz |
| 周波数レンジ(-10dB) | 50 Hz – 20 kHz |
| 最大SPL | 132 dB |
| アンプ出力 | 1,500W |
| クロスオーバー周波数 | 1.7 kHz |
| LFトランスデューサー | EVS-12M 12インチ(300mm) |
| HFトランスデューサー | DH-1M 1インチ チタン製コンプレッションドライバー |
| 指向特性(H×V) | 90° × 60° |
| コネクター | XLR/TRS コンボジャック × 2、XLR リンク出力 × 1、ステレオ RCA × 1 |
| エンクロージャー | 15mm 合板 + EVCoat仕上げ |
| 取付ポイント | M10 ネジ山付き × 8箇所 |
| サイズ(H×W×D) | 607 × 375 × 356 mm |
| 重量 | 18.8 kg |

EVERSE 8:「個人的に欲しい(笑)」
今回、木戸口氏が最も強く反応したのがEVERSE 8だった。小型・バッテリー駆動という特性が、SR現場エンジニアの視点で新たな可能性として映ったようだ。
「あれは個人的に欲しいですね(笑)。ちょっとした現場で”ここに音欲しい”っていう時に本当に便利。メーカー的にはストリートミュージシャン用途を想定していると思うんですけど、SR現場でもかなり使えると思います。」
—木戸口氏
特に可能性を感じた用途として、電源が取りにくい式典、小規模イベント、仮設現場、補助スピーカー用途を挙げた。
「モバイルバッテリー運用も含めて、かなり現場で重宝しそう。」
—木戸口氏
Electro-Voice EVERSE 8
BLUETOOTH® オーディオおよびコントロール機能を備えた、防塵防滴仕様のバッテリー駆動型ラウドスピーカー

Electro-Voice 初のバッテリー駆動型ラウドスピーカーであり、同カテゴリ初の防滴仕様モデル。
EVERSE 8 は、Electro-Voice の数十年にわたるエンジニアリング技術と最新のテクノロジーを融合させることで、真のポータブルかつ完全ワイヤレスのオーディオ体験を、他に類を見ない価格帯とパフォーマンスで実現します。
ライブ演奏、ボーカル強調、音楽再生など、あらゆるシーンで、ミュージシャン、DJ、レンタル・プロダクション業者、フィットネス/アクティビティインストラクターなどのプロフェッショナルから一般ユーザーまで、EVERSE 8 の優れた音質とユーザビリティ、そしてオールインワン PA システム設計の恩恵を受けることができます。
ブラックとホワイトの 2 色展開で、デザイン性も兼ね備えた柔軟な運用が可能です。
| 周波数特性(-3dB) | 60 Hz – 20 kHz |
| 周波数レンジ(-10dB) | 50 Hz – 20 kHz |
| 最大SPL | 121 dB |
| 指向特性(H×V) | 100° × 100° |
| アンプ出力 | 400W |
| クロスオーバー | 2.5kHz |
| LFトランスデューサー | 8インチウーファー-フェライトマグネット |
| HFトランスデューサー | 1インチ チタン製 |
| サイズ(H×W×D) | 400 mm x 275 mm x 272 mm |
| 重量 | 7.6 kg |
「こんなに幅広いEVがあることを、
もっと知ってほしい」

最後に、今回の試聴会全体を通しての印象について伺った。木戸口氏の中には長年「EV=SX300」というイメージが根付いていたという。しかし実際に最新ラインナップを体験したことで、そのイメージは大きく更新された。
「正直、自分の中では”EV=SX300″のイメージがかなり強かったんです。でも実際に体験して、こんなに種類があって、こんなに幅広く対応できるんだ、というのが見えました。これは業界にもっと広めたいですね。」
—木戸口氏
長年現場で音を扱ってきたエンジニアだからこそ感じる、”今のEVの実力”。今回の試聴会は、単なる製品チェックではなく、”EV再発見”の場になったのかもしれない。
「こんなに幅広く対応できるんだ、というのが見えました。これは業界にもっと広めたいですね。」
— 木戸口氏(株式会社ミュージッククラブ)
取材協力
株式会社ミュージッククラブ