WHERE SOUND LIVES “VOICES FROM THE FIELD” Vol.1 -清水”デカシミ”聖一氏-
WHERE SOUND LIVES— VOICES FROM THE FIELD
金沢を中心に活躍するフリーランスエンジニア
清水”デカシミ”聖一氏に聞く、今のElectro-Voice
WHERE SOUND LIVES — VOICES FROM THE FIELD
PAエンジニアやチューナーたちは、音響機材とどう向き合い、どのような判断を下しているのか。このシリーズは、現場の最前線に立つプロフェッショナルの視点から、Electro-Voiceの”今”を伝えるインタビュー記事です。機材スペックの先にある、音への哲学と実践を届けます。

近年、日本市場では少し距離感が生まれていたとも言えるEVブランド。今回の試聴会では、改めて”今のEV”を体感していただくことをテーマに、最新ラインナップを中心に展示・試聴を実施。当日は、金沢を中心に活躍するフリーランスPAエンジニア/チューナー、清水”デカシミ”聖一氏にご参加いただき、実際に音を確認・調整しながら、EV製品について率直な感想を伺った。

清水”デカシミ”聖一(しみず せいいち)
金沢を中心に活躍するフリーランスPAエンジニア/チューナー。長年にわたりElectro-Voiceを愛用し、現場の最前線で音と向き合い続けてきた。
「改めて、”EVらしさ”を感じた」
——EVファンが語る、ブランドへの想い
もともとEVファンだったという清水氏。しかし、近年のラインナップを細かく追えていなかったと言う。今回の試聴会を機に改めて調べ直すと、発見の連続だったようだ。
「僕ら世代って、最近のEVをそこまで細かく追えていたわけじゃなかったんです。でも今回、改めて調べてみると”こんな製品もあるんだ””こう進化してるんだ”って発見が多くて、自然と気持ちの温度が上がっていきました。」
—清水氏
特に印象に残っているのは、かつて存在したEVのステッカーデザインだという。アリがマイクに向かって叫び、そのケーブルがEVのスピーカーにつながり、音がライオンを震わせる——あのビジュアルが、清水氏にとっての”EVそのもの”だ。
「EVのローは、”空気を押し出す”」
清水氏が語るEVの魅力は、独特のローエンド表現にある。
「昔のEVって、ハイやミッドはしっとり落ち着いているんですけど、ローがすごい。”ただ低音が出る”じゃなくて、空気を押し出してくる感じなんです。JBLのローは柔らかく”ブワーン”と包む感じ。でもEVは”ドスッ”と前に飛んでくる。その服を揺らす感じが、本当に好きでした。」
—清水氏

EVOLVE 70 / EVIVA + 18インチサブ
——”EVらしさ”を確信した2機種

EVOLVE 70:「これは”EVらしい”コラムだと思った」
今回、特に高評価だったのがEVOLVEシリーズ。中でもEVOLVE 70については、調べている段階からすでに期待を寄せていたという。
「調べている段階で”これはいけそう”と思っていたんですが、実際に聴いたらその期待が確信に変わりました。EVOLVEは小さい音でもローからハイまで綺麗に出ていて、そのまま音量を上げても印象がほとんど変わらない。しかも、かも、コラム特有の”鼻詰まり感”がないんです。」
—清水氏
さらに、15インチモデルのサブウーファーのクロスポイント設定を高く評価した。
「18インチモデルじゃなく15インチを選んだ理由に、”音楽の色気”を感じました。クロスポイントの設定が絶妙で、ローとコラム部のつながりが本当に音楽的なんです。」
—清水氏
Electro-Voice EVOLVE 70
コラム型ラウドスピーカー・システム

パワフルでありながら高い可搬性を誇るEVOLVEファミリーの上位モデル。8基の4.7インチ・ネオジムドライバーによるコラムアレイと、業界最先端のラミナーベント設計の15インチ・サブウーファーを組み合わせ、最大SPL 133dBを実現。FIRプロセッシングによりリニアな周波数特性と位相整合性を確保。3-2-1アセンブリー方式により迅速なセットアップが可能だ。
| コラムアレイ | 4.7インチ ネオジムドライバー × 8基 |
| サブウーファー | 15インチ(3インチ・ボイスコイル) |
| 周波数特性 | 40 Hz – 18 kHz(-3dB)/ 35 Hz – 20 kHz(-10dB) |
| 最大SPL | 133 dB |
| 指向特性 | 120° × 25°(垂直非対称) |
| アンプ出力 | 2,000W(LF 1,000W / HF 1,000W) |
| 接続端子 | XLR/TRSコンボ × 2、ステレオXLR/RCA、AES/EBU、Bluetooth、QuickSmart Link |
| 総重量 | 35.5 kg |
EVIVA 12P + EVIVA 18SP:「EV思想を感じた」
EVIVA 12インチ+18インチサブの組み合わせについても、高い評価が続いた。
「12インチとは思えないくらいローがしっかり出ていて、リズムのうねりまで感じられる。SX300でやっていた仕事なら、むしろこっちの方が音楽的なんじゃないかと思いました。」
—清水氏
18インチサブの低域エネルギーの指向性にも注目した。
「18インチユニット1本のサブウーファー単体の場合って、後ろにもエネルギーが漏れがちなんです。でもこれは違う。ちゃんと前に飛ぶ。”ユニット裏側の空気の使い方”が上手い。サンダーボルト時代から続くEVの思想を感じました。」
—清水氏
Electro-Voice EVIVA 12P + EVIVA 18SP
パワード・ラウドスピーカー・システム

ミュージシャン、DJ、小規模会場向けに設計されたEVIVAシリーズ。直感的な操作性、多彩な接続性、業界をリードする耐久性を兼ね備え、EVらしいサウンドクオリティとモダンなスタイリングを実現。12Pと15Pの2ウェイ・ラウドスピーカーに、18インチ・サブウーファーを組み合わせることで、コンパクトながら本格的なシステムを構築できる。
PXM-12MP / ETX-12P / EVERSE 8
——実用性とEV音楽性の両立

PXM-12MP:「軽い、小さい、でも本当に使える」
PXM-12MPモニターについては、実用性の高さが際立った。
「まず軽い。しかも小さい。でもローがめちゃくちゃしっかり出る。”本当に使えるモニター”でした。他社より軽くて、持ちやすくて、それでいて音が良い。これはかなり魅力的でした。」
—清水氏
Electro-Voice PXM-12MP
12インチ コアキシャル・パワード・モニタースピーカー

ロアウェッジとしてもスタンドで立ててメインPAとしても使用可能な多機能モニタリングシステム。12インチ / 1.75インチ コアキシャルドライバーによる90° × 90°の均一なカバレッジ、55°のモニタリング角度を採用。QuickSmartDSPによる高度な処理機能を搭載し、4つのプリセット、3バンドEQ、ギタリスト向けGUITARCAB設定なども備える。
| 周波数特性(-3dB) | 64 Hz – 20 kHz |
| 周波数レンジ(-10dB) | 53 Hz – 20 kHz |
| 最大SPL | 129 dB |
| 指向特性(H×V) | 90° × 90° |
| アンプ出力 | 700W(LF 500W / HF 200W) |
| クロスオーバー | 1.6 kHz |
| トランスデューサー | 12インチ / 1.75インチ 2ウェイ コアキシャル |
| モニター角度 | 55° |
| サイズ(H×W×D) | 334 × 409 × 484 mm |
| 重量 | 13.5 kg |
ETX-12P:「SX300時代のユーザーにも刺さる」
「SX300より安くて、パワーアンプ不要で、しかも軽い。ローとハイのバランスも良く、非常に音楽的でした。」
—清水氏
“今の現場”に合わせた実用性と、EVらしい音楽性の両立を高く評価した。
Electro-Voice ETX-12P
12インチ 2ウェイ・パワード・ラウドスピーカー

12インチSMXウーファーと1.25インチチタン製コンプレッションドライバーを搭載。統合型FIR-Drive DSPと2,000WクラスDパワーアンプの組み合わせにより、ピークSPL 135dBを実現。18mmバーチ合板製エンクロージャーにEVCoat塗装を施し、M10サスペンションポイント × 8個を装備するなど、プロの現場に応える設計だ。
| 周波数特性(-3dB) | 55 Hz – 20 kHz |
| 周波数レンジ(-10dB) | 43 Hz – 20 kHz |
| 最大SPL | 135 dB(ピーク) |
| 指向特性(H×V) | 90° × 60° |
| アンプ出力 | 2,000W |
| クロスオーバー | 1,600 Hz |
| LFトランスデューサー | SMX2120 12インチ(300mm) |
| HFトランスデューサー | DH3-B 1.25インチ チタン製 |
| サイズ(H×W×D) | 613 × 381 × 400 mm |
| 重量 | 23.6 kg |

EVERSE 8:「見た目で舐めていた(笑)」
バッテリー駆動スピーカーEVERSE 8については、第一印象から大きくイメージが覆った。
「正直、最初は見た目で舐めてました(笑)。音を出した瞬間に驚きました。”このサイズでこんなに出るの?”って。しかもローがタイトで、リズムのうねりやピックのニュアンスまでちゃんとわかる。軽くて、小さくて、バッテリー駆動。それでいてこの音なら、むしろ安いくらい。」
—清水氏
「店頭で鳴らした瞬間、人だかりができるレベル」と語った。
Electro-Voice EVERSE8
BLUETOOTH® オーディオおよびコントロール機能を備えた、防塵防滴仕様のバッテリー駆動型ラウドスピーカー

Electro-Voice 初のバッテリー駆動型ラウドスピーカーであり、同カテゴリ初の防滴仕様モデル。
EVERSE 8 は、Electro-Voice の数十年にわたるエンジニアリング技術と最新のテクノロジーを融合させることで、真のポータブルかつ完全ワイヤレスのオーディオ体験を、他に類を見ない価格帯とパフォーマンスで実現します。
ライブ演奏、ボーカル強調、音楽再生など、あらゆるシーンで、ミュージシャン、DJ、レンタル・プロダクション業者、フィットネス/アクティビティインストラクターなどのプロフェッショナルから一般ユーザーまで、EVERSE 8 の優れた音質とユーザビリティ、そしてオールインワン PA システム設計の恩恵を受けることができます。
ブラックとホワイトの 2 色展開で、デザイン性も兼ね備えた柔軟な運用が可能です。
| 周波数特性(-3dB) | 60 Hz – 20 kHz |
| 周波数レンジ(-10dB) | 50 Hz – 20 kHz |
| 最大SPL | 121 dB |
| 指向特性(H×V) | 100° × 100° |
| アンプ出力 | 400W |
| クロスオーバー | 2.5kHz |
| LFトランスデューサー | 8インチウーファー-フェライトマグネット |
| HFトランスデューサー | 1インチ チタン製 |
| サイズ(H×W×D) | 400 mm x 275 mm x 272 mm |
| 重量 | 7.6 kg |
ND76 ——「58より2ランク上のマイク」
そして、今後のEVへの期待

ND76:「58系より”2ランク上”」
「58系と比較しても、高域が自然に伸びていて、感度も高い。でも変にピーク感がない。”派手に聞こえるだけ”じゃなく、ちゃんと音楽的なんです。」
—清水氏
既存のSM58系チューニング環境でもそのまま差し替えて自然に使えるという評価。350Ωというインピーダンスについては「古い現場では気になる場面もあるかもしれない。でも今はスプリッターなども普及しているので、音質優先でこの設計にしている印象でした」とコメント。
「音だけで言えば、58より2ランクくらい上のマイクだと思いました。」
—清水氏
Electro-Voice ND76S
ダイナミック・カーディオイド・ボーカル向けマイク

大型ダイヤフラムを採用した堅牢かつ高性能なダイナミック・カーディオイド・ボーカル向けマイク。クリアで抜けの良いバランスの取れたサウンドを実現し、ステージのサウンドを確実に遮音する。ショックマウント・カプセルによりハンドリング・ノイズを低減。ハムバッキングコイルガードにより電磁波ノイズの影響も排除し、過酷な現場でも安定したパフォーマンスを発揮する。
| タイプ | ダイナミック・カーディオイド |
| 周波数特性 | 70 – 17,000 Hz |
| 最大SPL | 140 dB以上 |
| インピーダンス | 350 Ω |
| 開放回路電圧 | 2.4 mV/Pa |
| 電源 | パッシブ(ファンタム不要) |
| コネクター | 3ピン XLR |
| 筐体素材 | ダイキャスト亜鉛 |
| 重量 | 323 g |
「EVには、”ワクワクするスピーカー”を期待したい」
最後に、今後のElectro-Voiceへの期待について。最近の大型モデルには「もう一度ポイントソースへ戻ろう」という空気を感じると言う。
「イントレ1スパンに収まるサイズで、野外大型現場まで対応できるような”本気のポイントソース”が出てきたら、本当に面白い。」
—清水氏
EVには、単なる効率やトレンドだけではない、”音への情熱”を感じる——。清水氏の言葉からは、長年EVを愛してきたエンジニアならではの視点と、これからのEVへの大きな期待が感じられた。
「EVのローは”空気を押し出す”。その服を揺らす感じが、本当に好きでした。」
— 清水”デカシミ”聖一氏
取材協力
株式会社ミュージッククラブ